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STORY

0096/sect1 「ユニコーンの日」(1)

ストーリー挿絵

 人類が、増えすぎた人口を宇宙に移民させるようになって一世紀。宇宙移民者の独立を掲げるジオン公国と、地球連邦政府の戦争も終結して久しく、地球圏がつかのまの平穏の中にあった宇宙世紀0096。

 暗礁宙域に建造された工業用スペースコロニー<インダストリアル7>に、『袖付き』と仇名される反政府組織の偽装貨物船《ガランシェール》が入港した。その目的は、地球圏最大の財閥・ビスト財団から供与される『ラプラスの箱』を受領することにあった。しかしジンネマン船長らは、船にひとりの少女が密航していることを知らなかった。

 解放されれば連邦政府が転覆するといわれる『ラプラスの箱』。その秘匿によって栄華を保ってきたビスト財団の当主・カーディアスは、コロニーの一画で新型モビルスーツ《ユニコーン》の稼働試験に立ち会っていた。それは地球連邦軍が極秘に開発を進めてきた兵器であると同時に、『ラプラスの箱』開放を企図するカーディアスの宿願が込められたマシーンでもあった。

 バナージ・リンクスは、その純白のモビルスーツを偶然目撃する。私生児として育てられながら、母の死を契機に見知らぬ父に誘われ、〈インダストリアル7〉にあるアナハイム工専に転入したバナージ。現在の生活に馴染めずにいる彼に、《ユニコーン》との出会いは鮮烈な印象を残す。

 一方、《ガランシェール》を抜け出した密航者の少女は、目的地のコロニービルダーへ向かう途中、アクシデントにより無重力帯に投げ出されてしまう。たまたまその姿を発見したバナージは、彼女を救うべく、プチMSのある出荷場へと走った――。


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