機動戦士ガンダムUC音楽担当
澤野 弘之氏インタビュー
――『機動戦士ガンダムUC』の音楽をオファーされた時、どのように思われましたか。
自分にとってガンダム作品というのは、映像音楽を目指した時からの夢でした。高校生の頃にたまたまテレビで放送されていた劇場版「機動戦士ガンダム」3部作を見たのですが、その時でも20年近く経っていた作品なのにも関わらず斬新かつ奥深い内容に魅了されました。
その時から、「自分がいつか作曲家になれた時、ガンダム作品に携わる事が出来たら」と願い続けていたのですが、普段自分の作っている音楽が喧しいサウンド中心だったりするので(笑)無縁の存在のように思い始めていました。なのでオファーを頂いた時は、喜ぶ以上に驚いていました。
―― 完成した映像をご覧になって、いかがでしたか。
とにかくその映像の迫力に引き込まれました。
正直、始めOVAというものがどのような規模で制作されるのか分かっていなかったので、完成映像を見た時は圧倒されましたし、凄いプロジェクトに参加させて頂けたのだなと改めて実感しました。
冒頭の戦闘シーンで使用されている曲は僕自身気に入っており、個人的には絶妙な感じで映像と音楽がシンクロしていると思ったので、凄く好きなシーンです。
なによりも全体を通して、憧れであったガンダムの世界と自分の音楽が一体となっているという事にいろいろな思いが込み上げ、恥ずかしながら終始感動しっぱなしでした(笑)。
私事になってしまいますが、20代最後の年にこの『機動戦士ガンダムUC』という作品に携わらせて頂けた事を本当に幸せに感じています。
―― お気に入りの楽曲があれば教えてください。
ユニコーン起動シーンで流れたメインテーマには特に力を入れましたし、それと同じくらい力を入れたのがバナージのテーマ曲です。サントラでは12曲目に収録されている「ON YOUR MARK」という曲なのですが、今回の1話ではそのピアノソロバージョンがバナージとミコットの会話シーンで少しだけ使用されています。サントラに収束されているのはそのオーケストラバージョンになります。
舞台挨拶等でも話した事ですが、この曲は5年くらい前にガンダムの世界を自分なりにイメージして制作した曲です。当時はまだ映像音楽の仕事に携わる前で、ひたすら家にこもって作品を想定しながら曲を作る日々でした。そんな中、自分の夢であるガンダムの世界に自分ならどんな音楽を作るだろうなんていう勝手な妄想をしながら作った曲で、とても気に入っていました。
いつか作品の世界と合えば使いたいと温めていた所、ユニコーンのお話を頂き、「これは使わない訳にはいかないだろ!」とテンションが上がりました。生のオーケストラでレコーディングし完成させる事が出来、思い入れ深い楽曲となりました。
―― 最後にファンへのメッセージをお願いします。
今回、ガンダムUCの音楽制作をするにあたり、十分な制作期間を確保し、1曲1曲力を入れて作る事が出来、僕の音楽人生の中で本当に大切な作品となりました。
とはいえそれは僕の自己満足・自画自賛に過ぎませんので、サントラを聴いて頂く方には1話の映像を思い出して頂いたり、今後どのシーンで使われるだろうか想像して頂く等、様々な聴き方で楽しんで頂ければ幸いです。
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1980年生まれ 東京都出身
小学生の頃からピアノを始め、17歳の時より坪井伸親氏に作曲・編曲・オーケストレイション・ピアノを師事。
現在はドラマ・アニメ・映画など映像の音楽活動を中心とし、その他にもアーティストへの楽曲提供・編曲など精力的に活動している。
2006年、CX系ドラマ「医龍 Team Medical Dragon」のサウンドトラックが話題となり、特にテーマ曲のヴォーカルバージョンである『Aesthetic』に人気が集中した。
2009年7月15日、初のオリジナルアルバム『musica』を発売。
〈主な作品〉
ドラマ「医龍 Team Medical Dragonシリーズ」「魔王」
アニメ「戦国BASARA」「ギガンティックフォーミュラ」
映画「自虐の詩」「陰日向に咲く」
ドキュメンタリー「NHKスペシャル〈ミラクルボディー〉」
etc..