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STORY

0096/sect2 「赤い彗星」(2)

ストーリー挿絵

 艦内に鳴り響いた警報は、敵襲ではなく戦艦の残骸によるものだった。ほっと息をつくのもつかの間、《ネェル・アーガマ》のブリッジでは再びダグザとアルベルトによる『ラプラスの箱』を巡る綱引きが再開される。その最中、先ほどの残骸を感知し再び鳴り響く警報に対し、艦長のオットーは苛立ちにまかせてデブリの撃破を命じてしまう。だがそれは《ネェル・アーガマ》の所在を探るジンネマンの罠であった。

 《ネェル・アーガマ》艦内の人間模様は、更に混迷を極めつつあった。バナージに対し『ラプラスの箱』の存在を明かし、《ユニコーン》とともに艦からの脱出を説くオードリー。ダグザ、アルベルトに対抗すべく、リディを通じて、彼の父で連邦議会の大物議員であるローナン・マーセナスに働きかけようとするオットー。バナージとリディがそれぞれに困惑する中、立て続けの激震が艦を襲う。今度こそ、まごうことなきネオ・ジオンの強襲であった。

 《ネェル・アーガマ》が隠れ蓑にしていたコロニーの残骸に直撃する対艦ミサイル。噴火した火山の真上にでも居るかのような灼熱と激震の中、一機のモビルスーツが《ネェル・アーガマ》に襲い掛かる。デブリの中を後続機の三倍の速度で飛来する、真紅の機体。《シナンジュ》と呼ばれるその機体を駆る男こそシャアの再来、フル・フロンタルに他ならなかった――


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